開発に至るまで
繊維の新たな応用分野
繊維産業は、異分野技術との融合による高度化と、応用分野の拡大が今後の大きな課題となってくる。
『インテリジェントテキスタイルの研究動向及び分野融合の研究開発の在り方について』(2010年2月26日(独)中小企業基盤整備機構)より抜粋
この二つの課題ってどう解決します?
繊維技術の往来的な優位(強み)は、それが生み出す技術の多様性である。より一層のユーザーのニーズに応えていくためには、各工程の技術向上に加え、工程を超えた横断的な技術向上や技術の組み合わせが重要となる。
『技術戦略マップ2010』(経済産業省)より抜粋
工程をバラバラにしてみろ!って言ってません?
繊維産業の革新的な先端素材は、我が国を牽引する成長産業の発展を産業資材として支えることができる。
『今後の繊維・ファッション産業の在り方』(平成22年4月経済産業省)より抜粋
革新的な繊維素材をみんな待ってるよ!ですって…、ほんとにそう思います!
上にあげた書物も、リーマンショック後の暇なときに出会いました。何かやらなきゃ!って焦っていた時です。と同時に、炭素繊維が各方面で使われだした頃で、繊維は「複合材料として使われることが多い」と認識した時でもありました。実は、複合材料って考えれば、炭素繊維もポリエステル生地も同じで、別に新しい考え方でも何でもないんです(生意気ですみません…)。でも材料が違えば、使われる分野も違ってくるでしょうし、応用分野の拡大にもつながります。
異分野と融合できる繊維技術を開発
私はこう思いました。繊維の要素技術を他の産業に融合させるって、画期的だよな…。それを探求していけば、繊維産業に新しい伸びしろが出てくる…。しかも社会の要請が有るにもかかわらず、繊維を知り、使える人はむしろ減っている…。これ、なんとかできないかな?やらなきゃダメだわ!異分野と融合できる繊維技術、織物製織技術を考えよう!そう思いました。
技術開発は楽しかったです。工場長と「さて、織機をこわしましょか!」とゲラゲラ笑いながらやっていったのを覚えています。超高密度織物の技術開発に引き続き、今までの織機や考え方の『』を壊すのは、ほんとに楽しかったですね。
従来の複合材料との違い
織物の中に、プラスチックやLANケーブル・光ファイバーを織り込みました。これも複合材料ですが、従来と工程が違います。従来の繊維複合材料はまず織物を作り、その後樹脂を含浸させて出来上がりです。言わば「後で融合」させます。私たちの技術は、「先に融合」させます。繊維以外の異素材を融合しながら織物を作っていきます。工程が違えば、出来上がってくるモノは違います。モノが違えば使われる分野も違ってくるでしょうし、応用分野の拡大につながるかもしれません。
「繊維産業は、異分野技術との融合による高度化と、応用分野の拡大が今後の大きな課題となってくる。」
課題解決のキッカケになることを願います。