異素材を織り込む技術

今までの『常識』にとらわれない、
異素材を融合しながら織物を作る繊維技術です。

異素材を織り込む織物技術ってどんな技術?

繊維材料と繊維以外の材料とを組み合わせる技術です。線状にした樹脂や金属などの異素材を縦方向に置き、その素材をタテ糸とヨコ糸で包み込むように織っていきます。

異素材が織布の表面に露出することがないため、肌触りがよく、安全性・快適性の面で優れます。

異素材としては、矩型断面(約2mm×6mmの長方形程度)と3mm程度の径のチューブ状の金属材料・樹脂材料・情報ケーブル・センサー等を用いることができます。繊維には一般的な天然・合成繊維から、スーパー繊維まで用いることができます。

特許第5852767号「織物の製造方法及び織物」

織物に異素材を織機で織り込む技術に関する特許です。この特許を使うことで、異素材(例えばケーブル等)を織り込んだ織物を製造することができます。

詳細はこちら(特許情報プラットフォーム J-PlatPatへ)

開発に至るまで

繊維の新たな応用分野

繊維産業は、異分野技術との融合による高度化と、応用分野の拡大が今後の大きな課題となってくる。

『インテリジェントテキスタイルの研究動向及び分野融合の研究開発の在り方について』(2010年2月26日(独)中小企業基盤整備機構)より抜粋

この二つの課題ってどう解決します?

繊維技術の往来的な優位(強み)は、それが生み出す技術の多様性である。より一層のユーザーのニーズに応えていくためには、各工程の技術向上に加え、工程を超えた横断的な技術向上や技術の組み合わせが重要となる。

『技術戦略マップ2010』(経済産業省)より抜粋

工程をバラバラにしてみろ!って言ってません?

繊維産業の革新的な先端素材は、我が国を牽引する成長産業の発展を産業資材として支えることができる。

『今後の繊維・ファッション産業の在り方』(平成22年4月経済産業省)より抜粋

革新的な繊維素材をみんな待ってるよ!ですって…、ほんとにそう思います!

上にあげた書物も、リーマンショック後の暇なときに出会いました。何かやらなきゃ!って焦っていた時です。と同時に、炭素繊維が各方面で使われだした頃で、繊維は「複合材料として使われることが多い」と認識した時でもありました。実は、複合材料って考えれば、炭素繊維もポリエステル生地も同じで、別に新しい考え方でも何でもないんです(生意気ですみません…)。でも材料が違えば、使われる分野も違ってくるでしょうし、応用分野の拡大にもつながります。

異分野と融合できる繊維技術を開発

私はこう思いました。繊維の要素技術を他の産業に融合させるって、画期的だよな…。それを探求していけば、繊維産業に新しい伸びしろが出てくる…。しかも社会の要請が有るにもかかわらず、繊維を知り、使える人はむしろ減っている…。これ、なんとかできないかな?やらなきゃダメだわ!異分野と融合できる繊維技術、織物製織技術を考えよう!そう思いました。

技術開発は楽しかったです。工場長と「さて、織機をこわしましょか!」とゲラゲラ笑いながらやっていったのを覚えています。超高密度織物の技術開発に引き続き、今までの織機や考え方の『』を壊すのは、ほんとに楽しかったですね。

従来の複合材料との違い

織物の中に、プラスチックやLANケーブル・光ファイバーを織り込みました。これも複合材料ですが、従来と工程が違います。従来の繊維複合材料はまず織物を作り、その後樹脂を含浸させて出来上がりです。言わば「後で融合」させます。私たちの技術は、「先に融合」させます。繊維以外の異素材を融合しながら織物を作っていきます。工程が違えば、出来上がってくるモノは違います。モノが違えば使われる分野も違ってくるでしょうし、応用分野の拡大につながるかもしれません。

「繊維産業は、異分野技術との融合による高度化と、応用分野の拡大が今後の大きな課題となってくる。」

課題解決のキッカケになることを願います。

異素材複合-織物技術は、何に役立つものか?

衣食住と言われるように、繊維は人に最も近い産業の一つです。この技術は、組み合わせの技術(繊維産業 + 他の産業)ですので、これまで人から遠かった産業技術を繊維にくるんで人に近づけることができます。

この技術は、人とこれまでのテクノロジーの距離をさらに縮めながら、人を支援していく新材料・新産業を創り出すことに役立つと考えます。すみません…かなり抽象的で何のことやらわかりませんね…。

今、これまでのテクノロジーは人と新たな繋がりを形成しながら人の五感を拡張し、人を支援していく方向に発達しています。そしてまたそんな社会が始まりつつあります。その中で、通信ケーブル・電極・センサーなどを融合できるこの織物技術は、利用者が“意識しない・快適な”形でテクノロジーを装備するのに役立つことになるでしょう。具体的な用途はそれぞれの項目でお話しさせてください。

今後…

繊維技術の各工程を見直しています。バラバラにして…。

この部分はこんな異素材と融合できるんじゃない?この工程はあの産業と融合できるんじゃない…?そしたら、こんな面白いことが起きるよね…。

これって本当に中小企業の仕事だと思います。なぜって、いつまでも、リスクを追えるから…

【special thanks】
開発にご協力いただいた、兵庫県立繊維工業技術支援センターさま、大阪府中央会さま、大阪地域創造ファンドさま、本当にありがとうございました。

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